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結実確保

​ リンゴは自家不和合性が強いので、単一品種だけ植栽したのでは結実が不安定となる。そこで、他品種との混植も有効ではあるが、薬剤摘花(果)や防除等管理上不具合が生じるので、できれば単一品種だけで園が構成された方が何かと便利である。特に高収量の高密植栽培は単植園となるケースが多い。受粉は人工受粉が最高であるが、できればクラブアップルやカラムナータイプの樹を植栽し、あとは訪花昆虫に委ねる手段を考えたい。

 クラブアップルには、ドルゴクラブやスノードリフトなど、カラムナータイプにはメイポールなどがある。例えば、開花タイミングはどの品種が合うのかは、県下バラバラである。自分の地域にあった品種を選択したい。 

授粉樹の植え付け位置

※溶液受粉ほか人工受粉

1 溶液受粉は、花粉を溶液(溶媒)に懸濁し、この溶液をハンドスプレー等用いて、柱頭に散布することで受粉を行う技術である。溶液受粉を行うことで、受粉作業が短縮できるし、少々の降雨時や花が濡れた状態であっても受粉作業ができるため、受粉の適期をのがさないなどのメリットがある。一方、課題は①精製花粉が大量に必要になること②一般的な散布器では、散布量が多すぎるため吐出口など改良が必要である③樹種により結実率が異なる。

2 溶液受粉方法(農研機構のマニュアル<ニホンナシ>より)

https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/nasi_jufun.pdf

3 各種受粉機の効果

 梵天を使っての受粉作業が昔から行われているが、作業の省力化を図るためマメコバチやミツバチを導入して、人手による人工受粉は今日少なくなってきた。高密植栽培では中心花の結実を確保し、摘花(果)剤を使用が前提となることから、人工受粉がまた見直されてきている。

 開花から限られた時間の中で作業しなければならないため、フルーツ〇〇〇〇をSSに装着したり、背負い花粉散布機、ドローンで溶液を撒いたりして、時間の短縮を狙っている。

前項の溶液受粉では、①既定液を大量の水に薄めた時点でその液はすぐに撒かないと花粉が浸透圧で死んでしまうこと。②散布圧力は、1.0MPa(10kgf/㎠)以下でないとこれまた、単なる花粉の死骸を撒くこととなってしまう。よって、SSでの溶液受粉はいかがなものか?また所詮薄めた花粉をドローンで撒いて柱頭に付着するのか?ドローンも同様、上から降ってきたもので付着するのか?

フルーツ〇〇〇〇や背負い散布機は、「精製花粉+石松子」を樹に散布。それでさぞかし満足されているようだが、実は訪花昆虫を遮断した条件下で行うと、ガク立ちしてくる果実はほぼゼロ(中信果樹技術員会におけるリンゴチームの研究発表ほか)。よって、花粉を散布した効果ではなく、訪花昆虫(必ずしもハチだけではなく雑多な昆虫も含め)が受粉してくれているということだ。

​ ※ リンゴは、風媒花でなく虫媒花である。風で飛んできたくらいの花粉では受粉しないということである。

隅柱付近に植栽

リンゴ高密植わい化栽培における授粉樹の定植位置

できるだけ細身で育てる

リンゴ高密植わい化栽培における授粉樹の定植位置
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