リンゴ高密植栽培
High Denstiy Planting
はじめに…
今日、リンゴ高密植栽培は従来のわい化栽培と混同されており、従来の栽培方法とは概念が全く異なり、「今までの常識が非常識!その非常識が高密植栽培である。」といっても過言ではない。ということは、海外でも従来のわい化栽培から進化してきたことには間違いないが、従来型の延長線上に本栽培があると思って取り組むと思わぬところに落とし穴がある。長野県下で平成30年度末で300余ヘクタール新改植され、素晴らしい成功例も県下に多く見受けられるようになったが、一方、「こんなはずではなかった」といった声も多く、決して成功とは言えない園が多いのも事実であります。
そこで、高密植栽培に限ったことではないが、取り組むのであれば失敗しないようにしたいものであります。フェザー苗を入手し、樹間何㎝だろうがとにかく植えさえすれば、10aで3t位は誰がやってもクリアーします。計算は簡単で列間4m×樹間1mで単純に10aに250本植え付けられ、4~5年もすれば、樹1本に30や40個の実をつけることは容易で、1個300~350gだとすると3tです。しかしながら、さすがに5tとか6tの収量で、しかも高品質を維持しながらとなると、ハードルは高いです。いくつかのキーポイントを手抜きすると、目標達成しないで周りの人から笑われる結果となります。県下に普及してから10年余経過する中で、私なりにポイントをまとめてみたのでご一読下さい。
本サイトは、県果樹試験場ほか県指導機関の指導事項、またJA長野県営農センターの指導会等の資料より抜粋し、部分的に勝手に改ざんさせていただきました。また、本栽培は欧州に端を発し、「長野版」として日々進化しています。その進化に乗り遅れることのないよう、infoしていきたいと思います。
高密植栽培のポイント
まずもって、高密植栽培は「より密植することにより小型樹をつくる」に尽きる。「小型樹を密植するのではない」ことに気がつかなければ、この先目指すべき姿には到達できないだろうと思います。新わい化栽培では、M.9ナガノ台を使用した2年生フェザー苗(今日、1年生フェザー苗が95%以上利用されている)利用を基本とし、管理作業が70%程度地上で可能な栽培であること。樹高は4mほど、結果部位は3.5mに達する。
新わい化栽培では・・・
1 樹の小型化→省力化→労働生産性向上、規模拡大
2 低樹高化→軽労化→高齢化対応、農業外からの労働力導入
3 大苗利用→早期収量回復→収量性の維持→新品種への迅速な対応としている。
一方、高密植わい化栽培では、名のとおりさらに密植することにより、より樹を小型化させ、次の事項が可能となってきている。
1 樹の小型化→省力化→労働生産性向上・均質生産・高収量
2 着色管理作業の軽減
3 品種により一斉収穫
4 用途(需要)別生産 があげられる
あえて欠点(決して欠点ではないが)をあげるならば・・・
1 高密植用専用トレリスの設置
2 大量な優良フェザー苗の確保などスタート資金がかかる
高密植栽培の基本的な技術
1 フェザー苗を確保し、基本的なフレームは 列間3.0~3.5m 樹間0.5~0.8m とし、10a当たり400~500本くらい植栽する
2 フェザー苗定植後、主幹は真っ直ぐになるよう支柱に誘引し、数年後には樹高が3.5m程に達するようにする
3 フェザーを下垂誘引して花芽の着生を促す
4 定植1年目であろうと結実した果実は成らせる(1~2個) 成りぐせをつける
細かい技術は、別ベージを参照
高密植栽培がもたらす効果
1 早期成園化 イニシャルコストもかかるが、その回収は極めて早い 「投資しない人には将来はない!」
2 均質生産 3階級(品種にもよるが40>36=32玉)で90%(選果場出荷データより) ⇒ 価格追求型からの脱却
3 高収量 植付した本数で収量が決まる 県あるいはリンゴ主産県平均約2トン/10a ⇒ 5トン以上は確実で、しかも下位等級品が極めて少ない
4 省力化 地上部での作業が70%くらい(2~3段の踏み台利用の場合)で、果実1トン当たりの作業時間を短縮できる
5 せん定技術がシンプル ○○流せん定などが不要で、誰にでもできる
6 低コスト生産 新たな販売戦略の組立が可能
JA長野県営農センター資料(一部改)
受光態勢と列間設定の考え方